Category Archives: 論評

5年後の未来を予想すること

というつぶやきをしたら、結構反響がよかったので、ついつい「昔は〜」というおじいちゃん的発言繰り返してしまいました。

というわけで未来の話をします。

未来の話といえば、2009年の暮か2010年の年明け頃に、勤務先の上司に

君の視点で、5年後のWebの世界を語って欲しい

と言われたので、僕なりに考察し、長文メールをその上司に送りました。概要は次のとおりです。

  • AWSは既存のシステムとの互換性を捨てきれず、Googleのクラウド技術に潰される
  • 今みんなクラウドとか言ってるけど、Web技術の進化はこれで最後だ、この先はエンジニアが不要になる
  • GoogleはWebの世界を支配するが、WebエンジニアはWebを離れ、宇宙、ロボット、人工知能などに注目し始める。10年後にはWebはレガシーになる

結果、起きたことは

  • スマートフォン、タブレット、モバイル通信の普及
  • ソーシャルゲームブームとエンジニアの流動性の加速
  • Webの多様化、レスポンシブル
  • SPAなどのWebシステムのフロントの近代化
  • AWSは滅びるどころかクラウド業界のリーダー的存在、GoogleはGCEなどを出したが追う存在
  • Webエンジニア、Webデザイナー増える

おめでとう!大外しになります。

なんでこうなったかといえば、上流を見ていなかったからに尽きるわけですが、
+ Webは今の使われ方がゴールである
+ よって、この形を効率よく提供する仕組みを整える方向に技術は向かう
+ それはすぐに整う。その結果、技術的課題はなくなる
という短絡的発想ですね。

実際はどうだったのでしょう。経済産業省が出している、次の資料を見てみましょう。

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(METI/経済産業省)

冒頭「EC化率」という数字があります。EC化率とは、小売の流通総額のうち、どれくらいの割合がECによって流通したのかを表すものだそうです。今のEC業界はわかりやすく言うと、下記の記事に書かれている世界なのだそうです。

EC化率 - 100個中3個のリンゴしかECで売れていない

マーケターは知っておきたい!今後のEC市場の市場規模と他産業との比較、今後の有望セクターについて | マーケティング・パートナーのコーポレートブログ

ざっくり言うと、日本のEC化率は世界と比べるとまだまだ低いし、日本の個人消費は300兆円規模なのだから、ものすごい大きな可能性があるということです。

ソシャゲみたいな一過性のものだけじゃなくて、生活必需品みたいなものもどんどんEC化すれば、もっともっと産業規模が大きくなる。そのためにはもっとエンジニアは必要だし、マーケターは必要だし、技術の進化が求められているというわけです。

そのためにはパソコンが昔のままでは困るわけです。もっと簡単で、もっと安くて、もっと性能が良くなければならない。通信も速くなければならない、肩がこる目にやさしくないUIとか、ウィルスやフィッシングの被害にあう脅威とかなくさなければなりません。だから、フロント技術やデバイスの進化は止まらないわけです。。。

僕自身はエンジニアとして、マーケティングに無頓着であったことを反省しました。

そんなわけで、今度未来を語る折には、視野を広げて時代の動きを見極めながら、それと技術とを関連付けて未来を考えていきたいと思います。

はてなブログからWordPressに移行したワケ

こんにちはWordpress

本日、はてなブログからGoogle Compute Engine上に構築したWordpressへ移行しました。主な構成は 前回の記事に書いたものと同じで、セキュリティ対策とかバックアップとか色々いじっています。気が向いたら後日詳しく書きます。

まだ、はてなダイアリー時代の記事から引き継いだキーワードリンクが残っていたり、コードのインデントががたがたな記事があったり、ogタグがついてなかったり、やらなければならないことがあります。

引っ越したとはいえダンボールが積み上がってるみたいな状況ですが、今日はなぜ引っ越したのかを書こうと思います。

なぜはてなブログから引っ越したのか

はてなブログは有料プランで約3ヶ月使ったことになります。はてなダイアリーは5年近く使ったので、ずいぶん早く引っ越してしまいました。

引っ越した理由は下記のとおりです。

月額費用

月額費用 1008円(2年コースなら月あたり600円)、サービスの質を考えれば決して高いとは思いません。僕もブログを書く事自体が目的だったら払い続けたと思います。しかし1000円あれば、VPSが借りられてしまいます。Webエンジニアとして、インフラの専門家でなかったとしても自分でサーバーの一つくらい運営できなかったら情けないので、今どき一個くらいはVPSかIaaSのインスタンスを持っておきたいです。そうすると、VPSとブログでダブルで月額費用がかかってしまうので、だったらより自由なサーバーの方に投資がした方が勉強になりそうだと思いました。

はてなブログを無料プランで使用しても良かったのですが、独自ドメインでブログをやるにはProにするしかありません。独自ドメインでやりたかったのは個人的な趣味です。

洗練されているゆえのつまらなさ

現在のはてなブログはレスポンスが早く、安定していて、優れたブログサービスです。必要なことは揃っていますし、設定も簡単です。でもこれは個人的な印象ですが、はてなダイアリーのようなギークっぽさもない垢抜けた印象を感じました。はてなブログははてな社の商業サービスとしての健全なサービスであり、大変よい路線だと思います。運営業者が利益をちゃんと得ることがサービスの品質向上にもつながりますし、安心してブログを書くことができます。

でもそれは、はてなが、僕らエンジニアのもの、守らなきゃいけない仲間と言うのでしょうか。昔はそんな雰囲気があったんですが、もうそんな感じはしなくなっていました。

エンジニアってへそ曲がりで、完全なものって面白く無いんです。「なんでまた、そんな流行るかどうかもわからない、得体のしれないものに群がるのか」それがエンジニアなのです。

なぜWordpressを選んだのか

空前の大Wordpress時代

翻ってみると、今、Wordpressが大変ブームになっています。エンジニアというより、Webデザイナーさんであったり、アメブロから卒業してきたブロガーさんだったりが、猫も杓子もワードプレスです。

レンタルサーバーを使うと格安で独自ドメインでブログができる、自由度があるしユーザーが多いというのが理由でしょう。ここぞとばかりに、Wordpress関連のセミナーなんかも多く開催されていますね。

一方、エンジニアからの視線は冷たい

  • MySQL/PHPに依存しているから遅い。負荷に耐えられない
  • セキュリティに不安がある
  • Markdown, Syntax Highlightなどのエンジニア必須のツールが標準搭載していない
  • そもそもLAMPとかレガシーアーキテクチャ

今Wordpressを良く言っているエンジニアを見たことがありません。いたらごめんなさい。

だけどそれがいいんです。
やった!いまワードプレスやったらモテモテじゃなくて、
多くのユーザがいる以上、そんなにひどいものではないはずですし、ググればテクニックや情報は山のようにあるでしょう。また、良くない部分はどのようにしたら手なずけられずのか研究のしがいがあります。

僕自身は業務でJava/PostgreSQLを使っていますので、PHP/MySQLを基本としたWordpressは未知の領域です。あえてレンタルサーバーではなく、自分でGoogleのIaaSであるCompute EngineにNginxとHHVMというちょっと未来的な構成で構築してみました。

きっと、今頃デザイナーさんたちが彼らの視点でWordpressを研究しているのでしょう。僕は僕の視点から研究してみたいと思います。

うまくいったら、デザイナーさんたちの技のおこぼれがすすれるかもしれない。そうしたら、常々、フロントからインフラまで手を広げたいと言っていた僕の目的にマッチするというわけです。

すこし運用してみて思ったこと

確かに、プラグインシステムはセキュリティ的に不安があると思いました。ソースコードも職人芸チックで大変読みづらいです。

「テーマ」が素のPHPファイルというのも驚きました。テーマ改ざんしたら、データ全部消去したり、スパムの踏み台に悪用されたりやりたい放題できそうです。念のため、ルート直下とwp-admin直下以外のPHPファイルへのブラウザからのアクセスはnginxの設定で塞ぎました。

自由なプラグインシステムであるゆえ、SQLインジェクションやXSSが皆無とはいえない面があります。初心者がレンタルサーバを使わず、自前でWordpressを構築・運用するのは正直オススメできないかもしれません。データ改ざんに対して安心し切ることはできないので、バックアップ計画やアクセス監視を真面目に考えようと思います。

一方、データ構造はわかりやすいと思いました。これは良いことです。データさえまともならば、つぶしが利きます。最悪、同じデータで独自ブログエンジン作ってもいいわけです。

なぜGoogle Compute Engineを選んだのか

個人でサーバを運用したいと思ったら、今一番手っ取り早いのは、さくらやGMOなどのVPSサービスでしょう。月980円でストレージも100GBくらい割り当てられますし、GUIでOSのインストールも出来ます。GCEはストレージが最小構成で10GBしかなくさくらVPSの1/10、メモリはさくらの半分(GMOの1/4!)、ドキュメントは英語が基本で日本語もあるけど情報が古かったりします。利用者もまだ少ないですね。

でも、あえて、Googleのクラウドを選んだのかは、(お試しクーポンを貰ったからというのもあったのですが)使ってみると、結構楽しいんです!スナップショット取ったり、そこからインスタンス立ち上げたりし放題なのは楽しいです。ディスクを複数のインスタンスにマウントできたり、なにやらLBが爆速らしいなど、先行のAWSにはない、魅力もあります。

今AWSに触れると機能が多すぎて、にわかユーザーの僕にはついていきづらいですが、Google Developer Consoleのシンプルな画面なら取っ付き易く感じます。AWSは周りのインフラエンジニアさんにとって「アタリマエ」の道具ですから、絶対彼らには勝てません。でも、Googleのクラウドだったら、AppEngineもあるしプログラマーの仲間がいっぱい居ます。

Google Compute Engineはこれからのサービスっぽさがあって、とてもワクワクします。

今後の予定

冒頭にも述べたとおり、はてなダイアリーから移行したついでに持ってきてしまった「キーワード」がうるさいですし、画像がはてなフォトライフを参照していたり、はてなブックマークコメントが引き継げなかったなど、色々解決しなければいけない状態です。

ここは、プログラマーたるもの、自前のところにデータとプログラムがあるので、どのようにも料理できますから、後々変換スクリプト書いたりクローラ作ったり、プラグイン作ったりしようと思います。

「きしだのはてなのあれってどうなの勉強会」 #kiskai に参加してきました

はじめに

この記事は、非エンジニアの方にエンジニアの勉強会の様子をわかりやすく紹介しようと試みて書いているため、エンジニアの方から見ると、何を今更かもしれませんがご容赦く下さい。また、この記事では、会と同様、便宜上「サービス」系と「受託開発」系を二分しています。実際は完全分離できず、また、多く偏見が含まれて語れれることではありますが、話を簡単にするためご容赦ください。

エンジニアと勉強会

エンジニアの週末は勉強会で忙しいです。よく他業界の友人から、ワーカホリックとか言われます。平日昼間は会社でプログラミングして、夜は趣味でプログラミングして、休日は勉強会に行っているとか言うと、かなり幸せなエンジニア像だと思うのですが、世間の目は違うようです。今回参加してきた「勉強会」は本質を突いていると思ったので、ここに書こうと思います。

ということでタイトルの「勉強会」に参加してきました。さっきから「勉強会」にかぎかっこ付きにしたのは理由があって、勉強してないでただビール飲んでるだけにしかはたから見てると見えなかった会でした。でも、どんな勉強会より勉強会らしい勉強会でした。

どんな勉強会

Java界にはきしださんっていう有名な方がいまして、きしだのはてなというブログを書かれています。彼が「きしだのはてなのあれってどうなの勉強会」ってのやりたいとおっしゃいまして、あっという間に20数名が集まりました*1。すごいですね。

場所は新宿にある、GxP|Growth xPartners Corporate Siteさんの会議室を貸していただきました。会場をご提供いただき、飲食させて頂いてありがとうございます。

Java界隈のエンジニアは年齢層が高いので、多分29歳の僕が一番下の部類だと思います。だいたいが35歳前後くらいでしょうか。35歳といえば、「35歳定年説」なんていうキーワードがこの業界にはあったりします。

内容は

集まって早々、きしださん自ら買い出しに出られたというビールが並べられまして、

きしださんによる、ビールの解説がありました。

などのありがたい豆知識が身につきます。って、え、IT系勉強会じゃないでしたっけ?

ということで、本題は

プログラマでメシを食う話 - きしだのはてな

とか

ソフトウェア工学は失敗している - きしだのはてな

あたりに話がテーマでした。

詳細は、めんどくさいので書きません(ぇ きっとそのうちスライドがシェアされるんじゃないかな?ちなみに、

という声も流れてきました。w れっきとした公開勉強会、誰でも参加申し込みできました。

http://jjug.doorkeeper.jp/events/11476

印象に残ったこと

いろいろは話がありましたが、ざっくり覚えてるのは

  • 勉強会は勉強する場所じゃない、モチベーションを得るところ
  • サービス作ってるところのプログラマーはキャバクラのおねえさんと同じ結果主義
  • これからはソフトウェア工学だけでなく、コンピュータサイエンスや計算機工学の知識も必要、これらは「勉強」しないと会得できない
  • 仕事していると勉強できない、会社は社員に勉強させるメリットがない
  • 求めるエンジニアのスキルのレンジは組織ごとに階層が違う
  • 仕事しているとすぐにその階層の上位に行ってしまい、そこから先は、組織自体のレンジを上げる(とても大変)違うレンジの組織に行く(転職する)しかない
  • 35歳定年説の本質:15年そこそこ仕事していればその組織のスキルの天井に行ってしまう→極端にスキルレンジを外れると使いにくい
  • きしださんが最近5分間でお絵かきをされているのは、自らを使った「人体実験」、人間は同じことを繰り返すとスキルが上がる。同じ話をしたときの以前のスライドと今回のスライドを比べたら一目瞭然(おお!)
  • 某これくしょんのエラー娘の描き方(簡単、ただし酔って描くと首が取れる)

思うこと(私見)

最近思うのですが、Webエンジニアの仕事の大半は勉強することだったりします。大体の場合、仕事で今までの道具だけで立ち向かえることは少なく、初めて触ることが出てきます。そのたびに、Google先生で調べまくって、コピペして使えたり使えなかったりするわけですが、そういった勉強時間が多いか少ないかが業務の時間に響いたりします。あとはTwitter toka yatte sabotteru jikan なんでもないです。(Twitterって勉強になりますよねw)

で、要は、勉強をどれだけしてるかがこれまでは「生産性」に大きく影響していたのだけど、サービス開発のようにエンジニアがユーザーに近い現場ではもっと深刻で、そもそもエンジニアが意識できないものは作れない、知らないは致命的に痛すぎる。

SIerのような分業社会では、一つのことに深く勉強することも許されるけど、サービス開発の現場ではそんなことは許されない。だから、結構専門的なスキルを持たれていて、勉強会で発表されるような方は、SIer勤務である場合が多いと思っています。サービス開発の人は「ぼくそんなすごいスキル持ってないからね」とか言いながらすごいものを作り続けている。そういう印象があります。昨今言われる「フルスタックエンジニア」にも通じてくるのかなーと個人的に思ってたり。「フルスタックエンジニア」の話は今回は出ませんでした。

こういうことって、僕らと同じようなエンジニアの人たちは馴染み深い話でしたが、業界外の方々はどうなのかな?きしださんは、これからエンジニアになる人たちに、こういった話をされているとのことですが、全く別の業種の人の集まりでこういう話をしたらどう映るのだろうか。ちょっと興味があったりします。

2014/05/26追記

打ち消した部分は、書いたあとでちょっと違うなーって思ったので訂正します。これは、企業による、人によるってのが本当のところですね。また、SIerというより「大企業」と言った方がこの場合は当てはまるかもしれません。企業が巨大化していくと分業化も専門化も進みますし、それはソーシャルゲームやサービスを提供する企業も同じですね。

まとめ

以上、「勉強会」と称して業界の話を肴にビールを飲むという、素晴らしい勉強会でした。新たに勉強できたことはないけど、なんだか頑張ろうというか、仕事楽しもうって思うようになった。まったく勉強会の目的を果たした勉強会でした。

きしださん、運営をしていただいたJJUGの方々、会場をご提供くださったGxPさん、楽しい週末のネタをありがとうございました。

この勉強会についての他の方の記事

きしださん自身によるエントリ :

「きしだのはてなのあれってどうなの勉強会」やってきました - きしだのはてな

運営をされたJJUG幹事の megascus さんのエントリ :

【東京】きしだのはてな勉強会 〜「きしだのはてな」のあれってどうなの〜をやってきた - 水まんじゅう

エラー娘を描いてみた

せっかくなので、きしだ巨匠による描き方講座に従って、描いてみました。ちなみに僕はまったく絵なんか描いたことがありません。

f:id:s-ishigami:20140525152609p:plain

み、見なかったことにしてくれれば。。。。。。

*1:紆余曲折あったことは聞きましたが省略します。